「国産」と書いてあれば安心?|「国内製造」との違いと、産地が書かれる範囲

✅ 今日の結論
- 「国産」と「国内製造」は、別の言葉です。「国内製造」は日本で加工したという意味で、原料の産地は分かりません
- 国内で作られた加工食品では、原則として重量がいちばん多い原材料に産地・製造地の表示義務があります
- ただし、2番目以降にも自主的に産地を表示する商品があります。「国産◯◯使用」だけで、全部の材料が国産とは判断できません
- 見るのは表の宣伝ではなく、原材料名の「1番目」に何が書いてあるかです
⏱ 約5分で読めます。手元の食品の裏を見ながらどうぞ🍵
売り場で、いちばんよく見る言葉のひとつが「国産」です。そして、いちばん誤解されている言葉でもあります。

「国産」って書いてあれば、安心なんですよね?
お気持ちは分かります。ただ、「国産」と「国内製造」は、まったく違う意味です。ここを知らずに買っている方が、本当に多い。
実は、牛肉でも同じようなことがあります
「国産牛」と「和牛」、この違いはご存じの方も多いかもしれません。
- 和牛は、黒毛和種など指定された4つの品種で、国内で生まれ、国内で育った牛だけに使える名前です
- 国産牛は、日本での飼育期間がいちばん長ければ、たとえ外国生まれでも名乗れます
📖 出典:農林水産省「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」
つまり、「国産」という2文字は、生まれた場所までは保証していません。「国内で育てた」という、それだけの意味です。
これからお話しする「国産」と「国内製造」も、実は同じ構造をしています。言葉は似ているのに、教えてくれることが全然違う。ここを知っておくと、表示の見え方が変わります。
「国内製造」は、原料の産地を教えてくれません
2017年(平成29年)9月に食品表示基準が改正され、国内で作られた加工食品を広く対象に、原料の産地・製造地を表示するルールができました(農林水産省「加工食品の原料原産地表示制度について」)。
ここで、書き方が2種類に分かれます。
- その原材料が生鮮食品のとき → 産地を書く(「国産」「北海道産」「アメリカ産」など)
- その原材料が加工食品のとき → 製造地を書く(「国内製造」「◯◯製造」)
つまり——「小麦粉(国内製造)」は、「日本で製粉しました」という意味しかありません。その小麦がどこの畑で穫れたものかは、この表示からは分かりません。


えっ、国内製造なら国産だと思ってた

ほとんどの方がそう思っています。でも「作った場所」の話なんです
嘘ではありません。ルールどおりの表示です。ただ、読み手が「国産」と読み替えてしまう——そこにずれがあります。
表示義務の基本は「1番多い材料」です
ここが、もうひとつ大事なところです。
農林水産省の説明には、こう書かれています。
全ての加工食品の重量割合上位1位の原材料に原料原産地を表示
上位1位。つまり、いちばん重い材料への表示が基本です。2番目、3番目の材料は、この一般ルールでは義務の対象ではありません。ただし、メーカーが自主的に表示することはできます。
原材料は重量の多い順に並んでいますから、確かめ方は簡単です。まずは原材料名のいちばん最初に書いてあるものを見ます。産地・製造地がどの材料に付いているか、2番目以降も確かめてください。
(一部の食品には別の個別ルールがあります。また、輸入した加工食品には原産国名を表示します。外食や、作ったその場で販売する惣菜などは、この原料原産地表示の対象外です。)
📖 出典:消費者庁「新たな原料原産地表示制度に関するQ&A」問4・5・7
だから、こういうことが起きます
たとえば、こんな表示があったとします。
原材料名:大豆(国産)、砂糖、食塩、酵母エキス
大豆は国産です。それは確かです。でも、砂糖・食塩・酵母エキスがどこの国のものかは、この表示からは分かりません。書く義務がないからです。
パッケージの表に「国産大豆使用」と大きく書いてあると、全部が国産のような気がしてきます。でも、この例で書いてあるのは大豆のことです。ほかの材料まで国産という意味ではありません。
売り場に25年立っていて思うのは、表示は嘘をついていないのに、読み手が善意で補ってしまう——これがいちばん多いということです。
売り場では、こう見てください
3つだけです。
① 「国産」なのか「国内製造」なのかを見分ける
「国産」なら産地の話。「国内製造」なら、作った場所の話です。この2文字の違いだけ覚えてください。
② 表示義務の基本は1番目。ほかの材料の表示も確かめる
2番目以降に産地が書いていなくても、隠しているわけではありません。一般ルールでは表示義務の対象外です。個別ルールや自主的な表示もあるので、商品ごとに確かめてください。
③ 気になるなら、原材料が少ない商品を選ぶ
これがいちばん現実的です。材料が3つか4つで終わっている商品なら、産地の分からない部分がそもそも少ない。調味料でも同じことが言えます。
今日、持って帰っていただきたいこと
- 「国内製造」は、原料の産地ではありません。日本で加工した、という意味です
- 表示義務の基本は、重量1位の原材料。2番目以降にも自主的な表示や個別ルールがあります
- 「国産◯◯使用」は、その材料についてだけの話です
- 迷ったら、原材料が少ないものを選ぶ。これがいちばん確実です
「国産だから安心」という言葉を、私は否定しません。国内の生産者の方々の仕事を、25年見てきましたから。
ただ、その4文字が何を保証していて、何を保証していないのか——そこだけは、知って買っていただきたいのです。
※本記事は食品表示のルールを説明したものです。特定の商品や産地の優劣、また病気の予防・治療の効果を示すものではありません。制度には個別の例外規定もあるため、詳細は消費者庁・農林水産省の公表資料をご確認ください。

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