「免疫力を上げる食べ物」はありますか|「免疫」と書ける食品の条件と、表示の見分け方

✅ 今日の結論
- 食品でインフルエンザは防げません。そこは薬と医療の仕事です。順番を間違えないでください
- ただし、パッケージに「免疫」と書ける食品はあります。機能性表示食品として届け出たものだけです
- 書ける文言も決まっています。「健康な人の免疫機能の維持に役立つ」——「免疫力を上げる」ではありません
- だから売り場で見るのは2つ。「機能性表示食品」の文字と、届出表示の一文です
⏱ 約7分で読めます。売り場で「免疫」の文字を見かけたら、思い出してください🍵
※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。
今年はインフルエンザの流行が、ずいぶん早いですね。例年なら11月末から12月にかけての話が、今シーズンはもう動き出しています。
こうなると、売り場で毎日いただく質問があります。

免疫にいいもの、何かありますか?
25年、この質問を受け続けてきました。今日は、正直にお答えします。
まず、いちばん大事なところから
食品でインフルエンザは防げません。
健康食品を売る立場の私が言うことではないかもしれません。でも、これが本当のところです。予防接種や手洗いの話は医療の領域であって、食品の出る幕ではありません。かかりつけ医や、厚生労働省・お住まいの自治体の案内に従ってください。
今シーズンの流行の状況は、厚生労働省の「定点当たり報告数の推移」や、お住まいの都道府県の感染症情報センターで、ご自分で確かめられます。数字は毎週更新されています。
そのうえで、食品の話をします。ここからが、私の仕事です。
それでも「免疫」と書いてある商品が、売り場にあります
この時期になると、売り場に「免疫」の文字が増えます。
実は、食品のパッケージに「免疫」と書くことは、原則としてできません。体の働きに影響を与えると受け取られる表現は、食品には認められていないからです。
ところが2020年、「免疫機能」をうたう機能性表示食品が、日本で初めて受理されました。キリンのプラズマ乳酸菌です。
その届出表示が、こちらです。一字一句、そのまま引用します。
本品には、プラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)が含まれます。プラズマ乳酸菌はpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています。
キリン「おいしい免疫ケア」商品ページ
この一文、一字一句がよく考えられています
なにげない文章に見えますが、ここには書ける限界がぎゅっと詰まっています。3か所、見てください。

つまり、国のしくみに乗せて、慎重に言葉を選んで、ようやくここまでなのです。

「免疫力アップ」って、よく見かけるけど……

あれは、書いてはいけないことが書かれています
「免疫力アップ」「ウイルスに負けない体に」「インフルエンザ対策に」——こうした言葉は、食品の表示や広告には使えません。届出表示があえて「維持」で止めているのは、そこが線だからです。
もう1社、並べてみます
「1社だけの話でしょう」と思われるかもしれません。ですから、もう1つ出します。
明治のR-1です。ご存じの方も多いと思います。長いあいだ、パッケージには「強さ引き出す乳酸菌」と書かれてきました。あの言い方、少し不思議に思いませんでしたか。
あれはキャッチコピーで、届出表示ではありません。「免疫」と書けなかったから、ああいう言い方になっていたのです。
そのR-1が、2025年12月5日に機能性表示食品として届け出ました(届出番号K685・株式会社明治)。届出表示は、こうです。
本品にはL. bulgaricus OLL1073R-1およびS. thermophilus OLS3059が含まれるので、樹状細胞(cDC・pDC)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立ちます。
消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」(届出番号 K685)
2つを、並べてみてください。会社も、菌も、まったく違います。
| 会社 | 届出表示(抜粋) |
|---|---|
| キリン (プラズマ乳酸菌) | 健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています |
| 明治 (R-1) | 健康な人の免疫機能の維持に役立ちます |
「健康な人の」と「維持」。この2語は、1ミリも動いていません。語尾の書き方は少し違いますが、この2つだけは、どちらも同じ場所に着地しています。
偶然そろったのではありません。そこが線だからです。
ヤクルトなど、ほかにも免疫で届け出ている商品があります。私が調べた範囲では、どれも「維持」で止まっていました。「高める」「アップする」と書かれたものは、ひとつも見つかりませんでした。
売り場で見るのは、この2つだけ
むずかしい話に聞こえたかもしれません。でも、確かめ方はとても簡単です。
① パッケージに「機能性表示食品」と書いてあるか
たいていパッケージの上のほうか、裏面に小さく書いてあります。特定保健用食品(トクホ)なら、あの許可マークがあります。どちらも無いのに「免疫」と大きく書いてある商品は、雰囲気で言っているだけです。
② 届出表示の一文が、どこかに書いてあるか
「免疫」の2文字だけが大きくて、どこを探しても条件の一文が見当たらない。そういう商品は、私は棚に戻します。書けるのなら、書いてあるはずだからです。
ひとつ、正直に添えておきます
機能性表示食品は、国が1つずつ審査して許可したものではありません。会社が根拠をそろえて国に届け出るしくみです。キリンの商品ページにも、こう注記されています。
本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません
これはキリンだけの話ではなく、すべての機能性表示食品に共通する注記です。トクホとの違いについては、別の記事でも触れています。

否定しているのではありません。何を言っている商品なのか、正確に知ってほしいだけです
今日、持って帰っていただきたいこと
- 食品でインフルエンザは防げません。まずは医療の話です
- 「免疫」と書ける食品はあります。ただし「健康な人の免疫機能の維持」までです
- 「免疫力アップ」と書いてある商品は、書いてはいけないことを書いています。その1点だけで、その会社の姿勢が分かります
流行が早い年ほど、売り場の言葉は強くなります。強い言葉を見たときこそ、裏返してみてください。本当のことを書いている会社は、いつも同じ、地味な言葉で書いています。
参考:あの一文を、実物で見てみたい方へ
最後に2つだけ挙げておきます。どちらも、この記事で届出表示を引用した、まさにその商品です。
買ってくださいという話ではありません。パッケージのどこに、あの一文がどう書かれているか。それを一度きちんと見ておくと、次に売り場で「免疫」の文字を見たときの目が変わります。私がお伝えしたいのは、そちらのほうです。
上が、記事で引用した届出表示そのものが書かれている飲料です。下は同じプラズマ乳酸菌の粒タイプ。どちらも「機能性表示食品」と書いてあります。そこが、この記事のいちばんの要点です。
※商品の紹介は一例です。お近くのお店でも、同じ表示は確かめられます。「機能性表示食品」の文字と、届出表示の一文。この2つを探す練習だと思って、棚の前で裏返してみてください。
出典
- おいしい免疫ケア|プラズマ乳酸菌|キリンホールディングス(届出表示・注記)
- 機能性表示食品の届出情報検索|消費者庁(届出番号 K685 で明治R-1の届出表示が読めます)
- インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移|厚生労働省
- インフルエンザに関する報道発表資料|厚生労働省
※この記事は食品表示のしくみを説明したものであり、特定の商品をすすめるものでも、病気の予防・治療の効果を示すものでもありません。発熱などの症状があるときは、食品ではなく医療機関にご相談ください。予防接種については、かかりつけ医や自治体の案内をご確認ください。
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