塩の選び方|「自然塩」表示のウソと、製法(天日・平釜・イオン膜)の見方

⏱ 約5分で読めます。台所の塩を、手に取ってからどうぞ🍵
✅ 今日の結論
- 「自然塩」「天然塩」は、書いてはいけない言葉です。ルールで禁止されています。
- そのかわり、裏に「工程」が必ず書いてあります。見るべきはそこです。
- ただしどんな塩でも、摂りすぎれば同じ。1日の目標は男性7.5g・女性6.5g未満です。
「体にいい塩って、どれですか」
売り場でよく聞かれます。棚には「海の恵み」「昔ながらの製法」——どれも良さそうに見えますよね。
でも塩は、表の言葉では選べません。手がかりは、やはり裏にあります。

「自然塩」「天然塩」は、使えない言葉です
意外に思われるかもしれませんが、これらは表示に使ってはいけない言葉です。
2008年に「食用塩の表示に関する公正競争規約」が公正取引委員会に認定され、2年の猶予を経て2010年4月から完全に施行されています。
禁止されているのは、たとえばこんな言葉です。
- 自然塩/天然塩/自然海塩
- 自然製法/自然結晶
- ミネラル豊富
理由は、買う側に誤解を与えるからです。「自然」と書かれれば体に良さそうに感じますが、その言葉に決まった中身はありません。

「自然塩」って、けっこう見かける気がするけど…

もし見かけたら、ちょっと立ち止まってみて
かわりに、必ず書いてあるもの
それが「製造方法」です。「どこの、どういう原材料から」「どんな工程で作られたか」を書くことが決められています。
雰囲気のいい商品名ではなく、この欄が、その塩の履歴書です。(出典:食用塩公正取引協議会)
覚えるのは、4つの言葉だけ
| 工程の言葉 | どういう作り方か |
|---|---|
| イオン膜 | 海水を電気の力で濃縮する。効率がよく、価格を抑えやすい |
| 天日 | 太陽と風で水分を飛ばす。時間がかかる |
| 平釜 | 平たい釜で、ゆっくり煮詰める |
| 立釜 | 密閉した釜で煮詰める。大量生産に向く |
たとえば「イオン膜・立釜」なら効率重視のつくり、「天日・平釜」なら手間をかけたつくり、と読めます。値段の差は、たいていここに出ています。
では、どれを選べばいいのか

じゃあ結局、どれを買えばいいの?

そこがね、正解はひとつじゃないんだよ
正直に申し上げます。「これが正解」という塩はありません。
25年見てきて思うのは、全部を高い塩にする必要はないということです。使う場面で分けるほうが、ずっと現実的です。
- 下ゆで、漬物、たっぷり使うもの……手ごろなもので十分です。
- おにぎり、焼き魚、仕上げのひとつまみ……ここは違いが出ます。
高い塩を1種類だけ買って使い切れないより、2種類を使い分けるほうが、結局おいしくて長続きします。
いちばん大事なことを、最後に
どんな作り方の塩でも、体に入るナトリウムの量は、そう変わりません。
「いい塩だから、多めに使っても大丈夫」——これだけは、違います。
| だれの目標か | 1日の食塩相当量 |
|---|---|
| 成人男性 | 7.5g未満 |
| 成人女性 | 6.5g未満 |
| 高血圧・慢性腎臓病の重症化予防 | 6.0g未満 |
選び方より、量のほうがずっと効きます。そこは正直にお伝えしておきます。
日本人の平均は、9.8グラムです
ここで、こう思われたかもしれません。「うちは薄味だから、たぶん大丈夫」
厚生労働省が毎年おこなっている調査があります。令和5年の結果です。
| 実際に摂っている量 | 目標量 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 成人男性 | 10.7g | 7.5g未満 | +3.2g |
| 成人女性 | 9.1g | 6.5g未満 | +2.6g |
平均が、目標を超えています。
これは「摂りすぎている人が一部いる」という話ではありません。目標を守れている人のほうが、珍しいということです。
男性なら、毎日3.2g多い。小さじにすると、半分ぶんです。
1日で見れば、小さじ半分。でも1年続けると——約1.2kg。スーパーで売っている塩の袋、ひと袋ぶんを余分に食べている計算になります。
ちなみに世界保健機関(WHO)がすすめているのは、1日5g未満。日本人は、その約2倍を食べています。
「自分は薄味だから」——私も、そう思っていました。
6グラムって、どれくらいでしょう
グラムで言われても、ぴんと来ませんよね。台所にあるもので言うと、こうです。
食塩6g = 小さじ1杯(すりきり)。
たったそれだけです。1日に使っていいのは、小さじ1杯とちょっと。しかも、これは料理に振る塩だけの話ではありません。パンにも、ハムにも、麺にも、最初から入っています。
| 身近なもの | 食塩相当量のめやす |
|---|---|
| 食塩 小さじ1(すりきり) | 約6g |
| しょうゆ 大さじ1 | 約2.6g |
| 味噌汁 1杯 | 約1.5〜2g |
| ラーメン 1杯(スープまで飲む) | 約5〜8g |
お気づきでしょうか。ラーメンを1杯、スープまで飲み干すと、それだけで1日分に届いてしまいます。
「外でラーメンばかりはよくない」と言われるのは、こういうことです。麺が悪いのではありません。スープです。

でも、食べるなとは言いません
私も食べます。おいしいですから。
ただ、スープを半分以上残すだけで、塩分は2分の1から3分の1ほど減らせます。我慢ではなく、置き方を変えるだけ。これなら続きます。(参考:公益財団法人やまがた健康推進機構「減塩のススメ」)
ベッカム夫人が、日本でラーメンを食べなかった話
2023年の6月、ベッカム一家が来日しました。人気のラーメン店に家族で入り、ご主人のデヴィッドさんも、お子さんたちも、おいしそうにラーメンをすすっています。
ところが、ヴィクトリア夫人の前には、何も置かれていませんでした。
デヴィッドさんによれば、彼女はもう25年ほど、焼いた魚と蒸した野菜を中心とした食事を続けているそうです。せっかくの旅先で、家族が食べているその横で、それでも自分の決めたものから外れなかった。
ここで申し上げたいのは、「真似しましょう」ではありません。25年間おなじものを食べ続けるやり方は、誰にでも勧められるものではありませんし、栄養のかたよりも心配です。
私が思うのは、ひとつだけです。
あの人は、「今日くらいいいか」を25年間やらなかった。それだけのことです。
美しさも、健康も、一日でできるものではありません。特別なサプリでも、高い化粧品でもない。毎日の小さな選択が、何年も積み重なった結果として、外に出てくるだけです。
だから私は、こう思うのです。スープを半分残す。それも、立派な積み重ねです。
※このエピソードは、2023年6月の来日時に複数のメディアで報じられたものです。(参考:ヨガジャーナルオンライン)
売り場での見方、3つ
- 表のキャッチコピーではなく、裏の「工程」を読む。そこにしか事実は書いてありません。
- 「自然塩」「ミネラル豊富」と書いてあったら、いったん立ち止まる。本来は使えない言葉です。
- 使う場面で分ける。全部を高い塩にしなくていいのです。
塩は、毎日使うものです。だからこそ、一度だけ裏を見ておけば、あとはずっと迷いません。
「で、結局どれを買えばいいの?」という方へ
ここまで読んで、こう思われた方も多いと思います。
「理屈は分かった。で、あなたは何を使っているの?」
もっともなご質問です。ただ、そこまで書くと長くなりますので、別の記事にまとめます。
私が実際に台所に置いている2本の塩と、どちらをどの場面で使っているか。裏の「工程」欄も一緒に写真でお見せするつもりです。今日おぼえていただいた4つの言葉が、そのまま読めるようになります。
近いうちに公開します。よろしければ、また覗いてみてください。
※この記事は表示のルールと公的な基準を説明したものであり、特定の商品の効果や優劣を示すものではありません。血圧や腎臓のことで治療を受けている方は、医師や管理栄養士の指示に従ってください。
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この記事を書いた人|ぱきら
健康食品・自然食品の販売現場に立ち続けて約25年。健康食品やサプリメントを主軸に、寝具・化粧品・整水器・補聴器まで、延べ数千点の「健康にまつわる商品」を直接お客様に届けてきました。華やかな広告の裏にある「商品の本当の姿」と、流行に流されない「賢い選び方」をお伝えしています。

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