本当にそれは牛乳?|種類別・乳脂肪分・値段の違いは、裏の1か所でわかります

✅ 今日の結論
- 棚に並ぶ白いパックは、ぜんぶが「牛乳」ではありません。6つの種類に分かれています
- 「牛乳」と名乗れるのは生乳100%のものだけ。見るのは、裏の「種類別」1か所だけです
- 乳脂肪分は「濃さ」の数字。3.0%以上ないと、そもそも「牛乳」と名乗れません
- そして低脂肪のほうが、カルシウムは多いんです。どちらが上ではなく、得意が違うだけでした
- そして高い牛乳は「濃い」のではなく、手間がかかっています。差が出るのは、殺菌にかけた時間です
- 高い牛乳使ってるから身体に良いと思ってるのは勘違いですよ~。
- 私は低温殺菌で、乳脂肪の多いものを選んでいます。
⏱ 約5分で読めます。図を眺めるだけでも分かるように作りました🍵
売り場に25年立っていて、牛乳でいちばん多くいただく質問が、これです。

牛乳って、高いほうがおいしいよね?
おいしい、と感じる方は多いです。ただ「なぜ高いのか」を知って買っている方は、ほとんどいません。
実は、その前に確かめてほしいことがあります。その白いパック、本当に「牛乳」ですか。
白いパックは、ぜんぶ「牛乳」ではありません

見た目はどれも同じ白いパックです。でも中身は、法律(乳等省令)ではっきり6つに分けられています。
生乳に脱脂粉乳やバターを足せば加工乳。コーヒーや果汁、カルシウムを足せば乳飲料。どちらも「牛乳」とは名乗れません。

見るのは、裏の「種類別」1か所だけ
ヨーグルトのときと、まったく同じです。表の宣伝ではなく、裏の「種類別」。ここに全部書いてあります。
「乳脂肪分」は、濃さの数字です

パックの側面に「乳脂肪分3.5%以上」と書いてあります。あれは牛乳100gのうち、脂肪が何%あるかという数字です。
数字が大きいほど、口に残る濃さが増します。体にいい・悪いの数字ではありません。コクが欲しいのか、さっぱり飲みたいのか。それだけの話です。
低脂肪のほうが、カルシウムが多いんです

正直に言います。私も「牛乳のほうが体にいい」と思っていました
売り場に25年立っていて、この数字は調べるまで知りませんでした。お恥ずかしい話ですが、そのままお伝えします。

低脂肪のほうが、たんぱく質もカルシウムもカリウムも多い。カルシウムは110mgに対して130mgです。
理由は、とても素直な話でした。低脂肪の加工乳は、脂肪を抜いたぶん脱脂粉乳を足しています。脱脂粉乳は、たんぱく質とカルシウムのかたまり。だから脂肪以外の中身は、むしろ濃くなるのです。
ただし、抜けていくものもあります
ここを見ないと、片側だけの話になります。
ビタミンA・D・Eは、脂肪に溶けているビタミンです。だから脂肪を抜くと、一緒に出ていきます。ビタミンAは38μgが13μgへ。ビタミンDとEにいたっては、ほとんど残りません。

つまり、こういうことです。
-
ビタミンA・D・Eが目当てなら、普通牛乳
-
たんぱく質とカルシウムが目当てなら、低脂肪
納豆の粒とひきわり、ヨーグルトの菌の話と、まったく同じ形でした。どちらが上ではなく、得意が違うだけ。
そして大事なことをひとつ。「牛乳と名乗れない=栄養が落ちる」ではありません。名乗れないのは、生乳100%ではないというだけの話です。
ほんとうに薄くなるのは、乳飲料のほうです。コーヒーや砂糖を足したぶん、たんぱく質は2.2g、カルシウムは80mgまで下がります。牛乳の7割ほどです。
※数字は食品成分データベースの「加工乳(低脂肪)」の欄によります。「低脂肪牛乳」は別の作り方で、成分表に独立した欄はありません。実際の商品は、パッケージの栄養成分表示をご覧ください。
なぜ、値段が違うのか

いちばん大きいのは、殺菌にかけた時間です。
日本で売られている牛乳の9割以上は、120〜150℃で2〜3秒。一瞬で仕上げます。これを63℃で30分かける低温殺菌にすると、同じ量をつくるのに何倍もの時間がかかり、そのうえ日持ちが短くなります。
つまり、高い牛乳は手間を買っているということです。
六甲山で飲んだ牛乳が、忘れられません

私事ですが、六甲山の牧場で飲んだ牛乳の味が、今も忘れられません。やっぱり、おいしい牛乳は違うんだ——そう思いました。
ただ、ここは正直にお伝えします。「低温殺菌だからおいしい」とは、言い切れません。
低温殺菌と超高温殺菌を飲み比べた研究では、低温殺菌のほうが「すっきり感」がはっきり強く、においや後味は弱いという結果が出ています。違いは、確かにあります。
ところが「どちらが好きか」には、差が出ませんでした。超高温殺菌のほうは「飲み慣れた味」と評価されています。栄養についても、殺菌のしかたで大きく変わるものではありません。
では、あの牧場の一杯は何だったのか。しぼりたての鮮度、山の空気、その日の気分——たぶん、そのぜんぶです。それも含めて、本物の記憶だと思っています。
まとめ:私が選んでいるもの

私は低温殺菌で、乳脂肪の多いものを選んでいます。毎日のことですから
- まず裏の「種類別」を見る。「牛乳」なら生乳100%です
- 乳脂肪分は好みで選ぶ。濃さの数字であって、良し悪しではありません
- 高い牛乳は、手間を買っている。濃いから高いのではありません
- そして、正解は一つではありません。飲み慣れた味がいちばん、という方も多いのです
毎日のものだからこそ、ここは大切にしたい。私はそう思って選んでいます。
※本記事は食品表示のしくみと、売り場での経験にもとづく選び方をまとめたものです。特定の商品の優劣や、病気の予防・治療の効果を示すものではありません。牛乳を控えるよう医師の指導を受けている方は、その指示に従ってください。
📖 出典
- 乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等省令)|厚生労働省
- 牛乳類の種類|Jミルク
- 牛乳の殺菌方法と栄養素の変化|Jミルク
- 低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳の物性および風味特性|日本官能評価学会誌 20巻1号(2016年)
- 普通牛乳(食品番号13003)|文部科学省 食品成分データベース
- 加工乳・低脂肪(食品番号13005)|同上
- 乳飲料・コーヒー(食品番号13007)|同上

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